お花の色水遊びで理科の実験! 酸性・アルカリ性での変化
小学校の高学年で、水溶液の性質を調べる単元があります。リトマス紙やフェノールフタレインを使って、水溶液が酸性、中性、塩基性(アルカリ性)のどれにあたるかを調べる実験などをします。
とても楽しい実験なのですが、リトマス紙やpH指示薬を手に入れることはむずかしいです。
※pH指示薬というのはpHによって変色する色素で、フェノールフタレイン、BTB、メチルオレンジなどたくさんの種類があります。
しかし、身近なものでpH指示薬の役割をするものがあります! お花です!
花以外にも、お茶や野菜、果物にも同じ働きをするものがあります。よかったら探してみてください。
今回は「お花の色素で指示薬を作る!」を目標とします。
はじめに
花(今回は紫パンジーと赤いツツジを使っています)
水(水道水で問題ありません。できれば浄水)
スポイト、ビニール袋、ハサミ、安全メガネ(またはゴーグル)
容器、酸性・塩基性の水溶液
<容器について>
①色水を入れる小さな容器5つ
②酸、アルカリの水溶液を入れる容器4つ
③色水をまとめていれる大きめの容器1つ
※すべて紙コップで構いません。すべて同じ大きさでも大丈夫です。③はペットボトルなどなんでもよいです。透明なほうがやりやすいですが、紙コップでもとくに問題ありません。
<水溶液について>
酸性の水溶液として使用
今回は、クエン酸と酢を用意。他にレモン汁、酸性のシャンプーや洗剤など。
塩基性の水溶液として使用
今回は、重曹とパイプ剤(水酸化ナトリウムを含む)を使用。他に炭酸ナトリウム(炭酸ソーダ)、セキス炭酸ソーダ(炭酸ナトリウム+炭酸水素ナトリウム)、アルカリ性の洗剤など。
おすすめは、クエン酸、酢、重曹、炭酸ナトリウムです。
・色の変化が分かりやすいため。
・お掃除道具としても有名で、身近にあるため。
・炭酸ナトリウム、重曹などアルカリ性になるものを使うときは、安全メガネをしてください。目に入るととくに危険です。
今回は炭酸ナトリウムが手元になく、スケルトンリーフ(葉脈標本)用に購入していたパイプ剤を使用しました。色の変化が強く出るのはよいのですが、「混ぜるな危険」の溶剤なので、メーカーの注意事項にそってお使いください。また、安全メガネを使うなど、とくに目に入らないようにしてください。
あるとよいもの
キッチンペーパー、わり箸など(混ぜる用)
※酸ももちろんですが、アルカリ性水溶液はとくに注意して使ってください。目に入った場合、酸性よりもアルカリ性のほうが危険です。安全のため、眼鏡やゴーグルをしましょう!
※クエン酸と重曹など、酸とアルカリをそれぞれ1本ずつの計3本でも充分だと思います。
むずかしさ
所要時間:1時間
むずかしさ:易しい
実験の準備
酸性・アルカリ性水溶液の強さは?
酸性やアルカリ性の強さを示す値に、「pH」があります。溶液の濃さや温度でも変わるため、水溶液の値をはっきり提示することはむずかしいです。
そのため、だいたいこれくらいという目安を示します。

pHは0~14の値で示され、pH7が中性、数字が7より小さいと酸性、大きいとアルカリ性です。できるだけ、pHの値が違う酸、アルカリをそれぞれ2つ用意するのがベストです。
クエン酸と酢はかなり近いpHになっていますが、わりと色の変化が見えて面白いです。
今回は酸性側で近いpHのものを使用しています。酸性の強いクエン酸は濃く、酢は薄めに作るとよいように思います(今回はそうしています)。
酸性・アルカリ性水溶液の準備
クエン酸や重曹など粉のまま加えても変化しますが、4つの水溶液にしてから使用しました。
クエン酸と重曹
・ティースプーン1杯程度に、水20mlほどを加えてよく混ぜる。溶け残ってもよい。
酢とパイプ剤
・そのまま加えてもよいが、溶液と水を1:1で混ぜた。
色水の作り方
1.花をビニール袋に入れて、もみもみする。
2.お花の汁が出てきたら、水(ぬるま湯のほうが色はでやすい)を入れる。
3.よく混ぜて、ビニール袋の端を少し切って容器に移す(青丸のところ)。
※キッチンタオルでろ過するとさらによいです。

今回は、パンジー(枯れかけてしぼんでいる)は5つ、ツツジ(小さめ)は10つほどを使用。水は100mlくらい加えました。水に色がつけばよいので、花も、水も適当で大丈夫です!


花はなんでも構いません。中には色の変化の少ないものもありますが、変化しにくいという実験結果が得られます。また、白い花でも色が変化することがあります。いろんな花で試してまとめるのもよいですね!
実験の仕方
1. 容器(5つ)に色水を同じ量ずつ加える。
2. 酸性、またはアルカリ性水溶液を加える(スポイトで1~3滴)。
3. 比較する。
パンジーの実験結果。
左からパイプ剤、重曹、なにも加えていない、酢、クエン酸
「アルカリ性 ― 中性― 酸性」の順

ツツジの実験結果
左からパイプ剤、重曹、なにも加えていない、酢、クエン酸
「アルカリ性 ― 中性― 酸性」の順

※試験管っぽいガラス瓶が4本しかなく、別々に実験して写真を合成しています。
実験のまとめ
今回の目的は、「お花の色素で指示薬を作る!」なので、目的達成です。パンジーやツツジが指示薬のかわりになることがわかりました。
おわりに
余談
酸・アルカリ水溶液を加えてすぐは混ざり合っていなくて、結構きれいです!

応用実験
いろいろな花で比較をする
複数の花で実験を行い、色の変化をまとめるのもおもしろいです。同じ色でも花が違えばどうなるか、白い花にも色素があるのかなど、様々なまとめかたができます。
調べれば、花のもつ色の色素もわかると思います。色素によってどのような色の変化があるのかを調べると、とてもよいレポートになると思います。
お花の指示薬で、家にあるものの性質を調べる
作ったお花の指示薬は残しておきます。これを「色見本」とします。
次に、残ったお花の色水を小分けして、ジュース、調味料などの食品、洗剤、シャンプー、消毒液など、様々なものを数滴垂らします。色のついているものも多いので見にくいとは思いますが、色見本と見比べます。比較することで、ジュースやシャンプーなどの性質を見極めることができます。
「我が家のシャンプーはほぼ中性だった」とか、「お気に入りのジュースは酸性だった。色の変化は大きくないので、弱い酸性だと考える」などの考察ができます。
花のpH試験紙を作ってみる
1.お花の色水を作ります(濃い色の出る花がよい)。
2.画用紙(コピー用紙などでもよい)を適当なサイズに切ります。
3.お花の色水につけます。
4.紙が充分に色水を含んだら、ラップなどの上において日影で乾かします。できあがりです!